おせち商戦は既に開始!?年々早まる3大ECモールのおせち市場をチェック!
こんにちは、Nintデータアナリストの山本です。
9月も終わり、今年も残すところあと3カ月となりました。10月はハロウィン、11月にはボジョレー解禁、12月はクリスマス・年末商戦など年末に向けて多くのビッグイベントがあります。早い方では、既に年始のことを考えるかたもいるのではないでしょうか。年始の風物詩と言えば「おせち」ですね。そんなお正月の風物詩のおせちですが、実は商戦が既に始まっております!
「おせち」の購入方法はECやデパート、コンビニ、スーパーなどさまざまですが、近年はEC市場での購入が主流になっています。その中でも売上の約7割近くを占める3大ECモール(楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング)の動向から、そのトレンドを見ていきます。
2. 最需要時期は12月。しかし立ち上がり時期は年々前倒し傾向
3. 平均単価は2021年・2022年と上昇中。販売数量は年々増加中
目次
3大ECモールにおける「おせち市場」推移
さっそくおせち市場の推移を見ていきましょう。
上記二つの図より、3大ECモールのおせち市場の推移に関して、以下のことがわかります。
1. おせち市場は年々増加傾向
2020年の市場規模は前年比101%、2021年は139%、2022年は154%と、年々上昇しています。特に、直近2年間が大きく成長していることがわかります。
2. おせち市場の成長要因は数量増加+平均単価上昇
2021年、2022年の売上好調要因は、販売数の増加と平均単価の上昇の両方が影響して上昇しています。2020年に関しては、販売数は増加するものの平均単価は前年を下回る結果となっています。
これらのことからおせち市場は、販売数量・単価の上昇により売上が伸長していることがわかります。また、コロナ禍である2020年・2021年・2022年に関して、2020年のみ前年伸長が緩やかである理由として、「外出自粛要制の強さ」と「EC化」が影響しているのではないかと推察します。
おせちの主な食シーンとしては、帰省時に家族や親戚と大人数で楽しむことが挙げられますが、2020年は帰省時期の外出自粛が呼びかけられており、そのようなシーンが減少した可能性が高いです。その結果、2020年は大容量のおせちを購入する機会が減少し、代わりに少人数向けのおせち商品の需要が増加したのではないでしょうか。
この変化が、2020年の平均単価減少の主要因である可能性があります。一方2021年と2022年には、続くコロナ禍によりECを使って商品を購入することにより一層抵抗が無くなったことと、外出自粛に対する消費者の意識の変化により、販売数量・平均単価共に上昇したと考えられます。
おせちの需要期は12月!立ち上がり時期は年々前倒しに!
グラフから以下のことが読み取れます。
1:需要期は9月~12月。最需要期は12月
各年の月別売上推移を見ると、需要時期としては9月~12月の時期と判断でき、最需要期はどの年でも12月となっております。
2:売上の始まりが年々早まる傾向
2019年では11月から急激に伸長しているおせち市場ですが、2020年以降上昇の仕方に変化が見られます。2020年・2021年は10月での売上が2019年と異なり停滞せずそのまま上昇、11月~12月にかけての伸び率が緩やかになっています。2022年は9月に急激な立ち上がりが起き、その後10月~11月にかけても急激な立ち上がりが見られます。
注目するポイントは、毎年売上の急激な立ち上がりが前倒し傾向となっていることです。
- 2019年 :10月~12月
- 2020年・2021年 :9月~11月
- 2022年 :8月~9月/10月~11月
早いほど有利になる?先行ショップの売上動向
おせちのジャンルは図3のように、8月以降で上昇する傾向があることはわかりましたが、最も早い発売時期はいつなのでしょうか?ここでは、「おせち」を商品名称に入れて販売しているショップがどの時期から販売を始めているか、その推移を確認しました。
※抽出方法は以下の通りです。
- Nint ECommerceにて、商品名称に「おせち」が含まれること。
- 1に加え、各年の6月~8月は、年末に納品されると判断できる製品であること。
図5から判断できることは以下の2点です。
1:一番早い販売タイミングは6月
一番早く販売が始まる時期は6月であり、2020年より6月から販売(予約)を始める店舗が数店舗出てきます。
2:年々取り扱い開始時期が前倒し傾向
図5の8月~10月の各月の年度別取り扱い店舗数を確認すると、増加傾向が見られます。特に8月、10月の増加数が目立ちます。このことから、展開の本格時期が少しずつ早くなってきている傾向が見られます。
おせちのようなハレの日の商品は1月1日~3日に消費されることが多いです。そのため、店舗としては、より早く商品を展開し消費者へ訴求をできる方が、消費者の目に触れる機会が増えるので有利に働くのではないかと考える方も多いかと思います。
そこで今回は、2020年~2022年の6月から販売を始めたショップが6月~12月の期間で販売金額で何位になったかをチェックしました。
図7からは一部のショップは100位以内に入るなど早期展開のメリットも見られましたが、多くのショップでは大きな優位性は見られていないのが現状です。これには、消費者の「ニーズ」が影響していることの現れと判断しました。年々早まっているおせち商戦ですが、現在ではまだ「8月」頃からが消費者ニーズとも近しいこともあり、6月の優位性はそこまでないようです。
売れ筋価格帯は15,000円前後!おせち商品の平均単価・売上構成比を見る
ここまで3大ECモールにおけるおせちの市場・需要時期を確認してきましたが、皆さん気になる点として「価格」もあるのではないでしょうか。Nint ECommerceを使用し、おせち商品の主力価格帯を確認いたしました。
図8の価格、売上から判断すると、おせち商品には、3つの価格帯があるようです。
- 10,600円~12,800円前後
- 14,100円~15,900円前後
- 18,700円以上
それぞれの価格によって、中身の具や量が異なっていると推察されます。この10,000円~15,000円は「ぐるすぐり」の調査内容によると購入金額の27.1%を占め、中心価格となっている事がわかりました。製造・販売の際はこの1~3の価格を意識するとより消費者ニーズに沿った展開ができるかと思います。
一方で、おせちの原料となる海産物の高騰や、昨今の物流費の高騰により、価格全体が上昇傾向となる可能性もありますので、今後中心価格帯の推移は注視していきたいと思います。
モール毎でもこんなに違う!おせち市場
3大モール全体のおせち市場は確認いたしましたので、今回は各モールでのおせち市場の動きを見ていきたいと思います。
楽天市場
Yahoo!ショッピング
Amazon
このように確認すると、各モールで動きが異なることがわかります。楽天市場は9月~12月にかけて順調に伸び続けております。Yahoo!ショッピングに関しては他のモールとは異なり、1年の中で11月が最も売れる時期となっております。Amazonに関しては、12月の売上が高くなることから、「予約」<「駆け込み需要」が高い可能性があります。
それぞれのモールで動きが異なる為、販売店においては、どのモールの販売方法が合っているかなどを検討することで、売上創出につながるかもしれません。
おせち市場まとめ
年始の風物詩、おせちですが購入場所はECが中心となってきており、その展開は年々早まっています。最も早い展開店舗は6月から展開を始めていますが、現段階ではそこまで早いニーズは多くないようです。展開時期の早まりは、消費者のニーズによるものか、展開店舗の戦略かは不明ですが、現在では展開は「8月」から、売上は「9月」から伸びていく傾向があります。中心価格は10,000円~15,000円前後、市場のピークは12月となっていますが、各モールを見ていくと異なる動きをしていることがわかりました。販売店・直販店においては、仕入れ量や販売方法からどのモールで展開していくかの戦略立てが重要そうです。
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備考
今回調査にあたり抽出したジャンルは以下の通りです。
- Amazon:食品・飲料・お酒、レトルト・料理の素、おせち ジャンル以下
- 楽天市場:食品、惣菜、おせちセット ジャンル以下
- Yahoo!ショッピング:食品、惣菜・料理、おせち料理 ジャンル以下
※詳細ジャンルに関しては株式会社Nint へお問い合わせください。
参考URL
調査対象:Nint推計データ
Nint推計データは、AIやクローリングなどの技術により⽇本国内の3⼤ECモールで販売される商品の売上⾦額・販売数量を⾼精度に推計したデータに、サイト内でのプロモーションデータ等を加えた、EC市場の総合的な分析を可能にするビッグデータです。
データ抽出期間:2019 年1⽉〜2022年12⽉(※本稿における Nint 推計データは 2023年9⽉時点のものを使⽤)
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【出典:Nint BLOG「おせち商戦は既に開始!?年々早まる3大ECモールのおせち市場をチェック!」(2023年10月3日公開)】
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