キッチン用品市場の現状は?EC化率やアイテム別のEC売上推移
キッチン用品のEC市場が拡大し、大きなビジネスとして成長しています。物販系分野のECは、2020年に新型コロナウイルス戦略として利用が推進されたことが追い風となり、市場規模を拡大しました。
消費者に需要のある日用品のひとつであるキッチン用品は、今後もEC市場の拡大が予測され企業にとって魅力的なビジネスです。そこで今回は最新の市場レポートの情報を分析し、キッチン用品市場の現状を確認しながら、EC化率やEC売上推移を解説します。
【目次】
▼キッチン用品のECにおける市場規模
└キッチン用品を含む家庭用品のEC市場の規模
└キッチン用品を含む家庭用品のEC化率
▼キッチン用品を含む家庭用品のEC市場成長要因
└ストック需要の高まり
└「ついで買い」やサブスクリプションの利用の広がり
└実店舗とECの役割の変化
└D2Cの拡大
└配送手段の多様化
└スマートフォンの普及
▼3大ECモールにおけるキッチン用品の市場規模推移
▼キッチン用品市場の現状を掴みビジネスを拡大する
目次
キッチン用品のECにおける市場規模
キッチン用品のEC市場の現状を知るためには、市場規模を調査した市場レポートのデータを分析する必要があります。経済産業省が提供しているECに関する市場調査レポートデータをもとに、キッチン用品のECの市場規模とEC化率を分析し、市場規模の拡大と市場成長の現状を解説します。
キッチン用品を含む家庭用品のEC市場の規模
経済産業省の電子商取引に関する市場調査によると、2021年におけるキッチン用品を含む家庭用品のBtoC-ECの市場規模は、2兆2,752億円となり、対前年比で6.71%上昇しています。3年前の2019年のキッチン用品を含む家庭用品の市場規模は、1兆7,428億円でしたので、市場動向は上昇傾向であることが分かります。売上の内訳は、約7割が家事雑貨、家事用消耗品、残りの約3割が一般家具、インテリア、寝具類です。キッチン用品を含む家庭用品の市場シェアの大きな割合を家事雑貨、家事用消耗品が占めています。
キッチン用品を含む家庭用品のEC化率
EC化率とは、全ての商取引市場規模に対する、EC市場規模の割合です。経済産業省の電子商取引に関する市場調査によると、キッチン用品を含む家庭用品の2021年度のEC化率は、28.25%となっています。キッチン用品を含む家庭用品の2021年度のEC化率は、2019年23.32%、2020年26.03%でしたので、毎年EC化が進んでいる業界であることが分かります。キッチン用品を含む家庭用品のEC化率は、「書籍、映像・音楽ソフト」(46.20%)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(38.13%)についで、3番目に高い値でした。 物販系分野全体での国内EC化率は8.78%ですので、キッチン用品を含む家庭用品は、EC化率が高いビジネスのひとつであることが分かります。
キッチン用品を含む家庭用品のEC市場成長要因
前章のキッチン用品のECにおける市場規模の情報でも分かるように、キッチン用品を含む家庭用品のEC市場規模は拡大を続けています。2020年に新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言が発出され、外出自粛による「巣ごもり需要」が生れたことは、EC市場成長の大きな要因となりました。「巣ごもり需要」をきっかけとして、消費者にECは定着しており、新型コロナウイルス感染症の影響が緩やかに収まり、消費者の外出が増加する中においても、ECの需要は増加しています。この章では、今後も成長か期待されるキッチン用品を含む家庭用品のEC市場の成長要因を解説します。
ストック需要の高まり
新型コロナウイルス感染症感染症拡大前の2019年と比較すると、1世帯あたりの「生活雑貨、家具、インテリア」の年間平均支出は5.7%増加しています。 その背景には、消費者が外出を控える行動によって、普段使いの日用品や雑貨のネットでの購入が拡大した点があります。新型コロナウイルス感染症の影響が減少して、消費者の外出が増えたあとでも、生活に定着したEC活用の習慣は継続しています。
「ついで買い」やサブスクリプションの利用の広がり
価格の安い商品は送料との見合いから、他の商品とのついで買いが市場成長を後押ししている可能性があります。購入頻度の高い消耗品については、近年、サブスクリプションの利用も広がっており、市場成長の要因と考えられます。サブスクリプションは、消費者が定期的に料金を支払うことで、商品やサービスが提供されるビジネスモデルで、近年消費者の認知度の高まり市場が拡大しています。実店舗とECの役割の変化
新型コロナウイルス感染症は、消費者の外出が制限されたことで、EC市場が拡大するとともに実店舗とECの役割にも変化をもたらしています。消費者が実店舗で、現物の商品を実際に手にして、気に入った商品をECで購入する「ショールーミング」というビジネスモデルが、EC市場拡大の取り組みとして実施されて います。
D2Cの拡大
D2Cは「Direct to Consumer」の略で、メーカーが自社の商品やサービスをECサイト上で 直接消費者に販売するビジネスモデルです。D2Cは、アパレルや化粧品のビジネスで先行していましたが、近年は、食品メーカーやキッチン用品を含む家庭用品メーカーの参入が見られます。EC市場における大手ECプラットフォームの活用割合は、2021年には上位 3 社で約 7 割と推定されるため、市場規模の面では、大手ECプラットフォームの活用が中心となります。一方で、D2Cはブランドのイメージや世界観を消費者に直接訴求することができるためブランディングの向上が期待されます。また、消費者と直接的につながることができるため、顧客ごとにカスタマイズされた顧客戦略が可能となります。そのため、売上上位企業の中には、大手ECプラットフォームの活用とD2Cを汎用していることも多くみられます。
配送手段の多様化
BtoC-EC の市場規模によって、宅配便の個数が増加しています。国土交通省が発表している宅配便個数の推移によると、2009年に31 億 3,700万個であった宅配便個数は、2020年度には48 億 3,600 万個となり、約 54%の伸長率となっています。宅配便というと、大手宅配便事業者3社を思い浮かべますが、大手宅配便事業者3社の宅配便の個数は、2019年 40.0 億個、2020 年 44.1 億個、2021 年 45.9 億個と継続して増加しています。
また、EC事業者の中には、大手宅配便事業者3社以外の特定の輸送会社と契約し配送を委託しているところもあります。 さらに、EC 購入商品の店舗受け取りや、D2C でメーカー自身が配送を行っているケースもあります。
このように、BtoC-EC の市場規模拡大に伴う宅配便個数の増加という課題を宅配便事業者が適応しつつ、配送手段の多様化が進んでいる点も、EC市場が順調に成長できている要因の1つといえるでしょう。
スマートフォンの普及
キッチン用品を含む家庭用品のEC市場成長要因のひとつとしてスマートフォンの普及などの市場環境の変化があります。 2020 年のスマートフォンの普及率は、86.8%であり、パソコンの保有率が、低下傾向にあるなか、ECビジネスにおけるスマートフォンの重要性が増しています。 BtoC-EC 市場におけるスマートフォン経由の市場規模は、毎年増加しています。また、ECをスマートフォンアプリとして提供する企業が多くなっています。 消費者は、アプリのよって簡単にECサイトを利用することができ、企業は消費者に対し積極的にコミュニケーションをとることができるため、ECビジネスの拡大が加速します。 さらに、SNS と EC との連携が進んでいる点も、EC市場成長要因のひとつでしょう。
3大ECモールにおけるキッチン用品の市場規模推移
ここでは2019年から2022年まで、年間のキッチン用品の売上市場規模と販売数量の推移をNint ECommerceのデータで確認します。売上市場規模は年々拡大し、2022年の年間の売上規模は2019年に比べると121%にまで成長していることがわかります。一方、販売数量は2021年までは微増を続けていましたが、2022年には減少となりました。
これは、各モールにて2022年によく売れた商品を調べた結果、高単価商品の購入が活発であったことと、為替や原材料物価上昇の影響と見受けられます。
キッチン用品市場の現状を掴みビジネスを拡大する
キッチン用品のEC市場は近年拡大を続け、大きなビジネスとして成長しています。EC市場成長要因には、ストック需要の高まり、「ついで買い」やサブスクリプションの利用の広がり、実店舗とECの役割の変化、D2Cの拡大、配送手段の多様化、スマートフォンの普及などが考えられます。新型コロナウイルス感染症感染症は、キッチン用品のEC市場に大きな変化を与え、市場規模を拡大しました。新型コロナウイルス感染症感染症が収まってきている中でも、EC市場は継続して拡大を続けています。今後もキッチン用品のEC市場は、大きなビジネスチャンスが期待できるでしょう。
作成者
趙 恵善(Cho Hyesun, ERP Div.マーケティングUnit)
編集者
Nint Blog 編集長 加藤 洋平(Kato Yohei, ERP Div.カスタマーサクセスUnit)
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