中国越境EC市場規模分析-データで読み解く2016年独身の日
ここ数年、中国の独身の日(11月11日・W11)におけるセール規模がニュースになることが多くなっており、今年の11月11日も過去最大規模のイベントが行われた。もはやオンラインモールのイベントの域を超えており、オンラインでの生中継ゲストにはサッカー選手のベッカムやハリウッド女優のスカーレット・ヨハンソンも参加するなど一種のお祭りと化してきている。そこで今回は終了したばかりの天猫(Tmall)における独身の日の流通規模をデータから紐解いていきたい。
今回の記事は株式会社アドウェイズの提供するEC購買データ推計サービス(Nint)の発行するレポートの一部を記事にしたもので、紙面の特性上詳細なデータは割愛しております。より詳細なデータをご希望の方はこちらからお申し込みください。
目次
天猫(Tmall)の流通総額の昨年比
アリババの公式発表によると、2015年の天猫(Tmall)全体での独身の日の1日での売上は1.452兆円(1元=15.92円で想定)。今年2016年の売上は1.922兆円(1元=15.92円で想定)となり、昨年比で24%の伸びを示している。これは楽天の2015年の年間の流通総額が2.675兆円(トラベル含む)なのでその72%を1日で稼ぎ出した驚異的な数値となっている。
一方で天猫(Tmall)というプラットフォーム自体も年々売上を伸ばしており、9月の1日の平均売上高は昨年と比較して10%伸びている。しかし、その伸び率と比較しても独身の日の伸び率はさらに大きなものとなっている。この9月の通常時の1日の売上と比較すると昨年は35倍、今年は42倍となり、そのインパクトが伝わるであろう。
天猫(Tmall)の人気商品カテゴリランキング
続いて商品カテゴリ毎の売上シェアを見ていこう。天猫(Tmall)全体で見るとアパレル・靴・バッグがトップで続いて家電となっており、この2ジャンルで50%近くを占めている
一方、天猫国際(Tmall国際)で見ると美容がトップで続いてベビー関連となっており、この2ジャンルで60%を超える値となっている。天猫(Tmall)全体での人気と天猫国際(Tmall国際)の越境での人気商品は大きく異なっているようだ。
日本商品については、美容、ベビー関連のトップ2は変わらないが、そのシェアは合計で80%を超えており、日本商品についてはほぼこの2ジャンルに人気が集中している状況だ。
天猫国際(Tmall国際)の国別人気ランキング
日本商品は独身の日でどの程度頑張ったのか。ここでは国別の売上高を見ていこう。独身の日において最も売上を上げたのは日本であった。次いでアメリカ、韓国、オーストラリア、ドイツとなっている。日本とアメリカの商品だけで40%、6位のフランスまでで75%と上位の国に人気がこちらも集中している。
天猫(Tmall)の店舗別人気ランキング
次に店舗(ブランド)別の売上高を見ていこう。天猫(Tmall)全体で見ると、家電の人気が高かったことを裏付けるかのように上位4店舗は全て家電系の店舗となっている。次に目につくのはアパレル系だが、その中でも6位にユニクロがグローバルスポーツブランドと肩を並べるほどの成果を上げている。
一方日本商品に絞ると、美容系、ベビー関連のブランドが並び、トップ10全てがその2ジャンルとなっている。またマツモトキヨシをはじめブランド公式ショップよりも小売系のショップの躍進が目立っているのも特徴的だ。
天猫国際(Tmall国際)の人気ブランドランキング
人気商品をブランド別に見ていこう。天猫国際(Tmall国際)において人気のある日本製のブランドのランキングは以下のようになった。花王、ユニチャーム、資生堂、ミキハウスと日本でもお馴染みの美容・ベビー系のブランドが並ぶ。6位に食品メーカーのカルビー、10位に家電メーカーのテスコムが入っているが、それ以外は全て美容・ベビー系のブランドとなっている。
天猫国際(Tmall国際)の人気商品ランキング
最後に商品別に日本商品のランキングを見ていこう。上位30商品のうち12商品がベビー用品のオムツが占めており、その認知の高さは圧倒的だ。そんな中、カルビーのフルグラ(グラノーラ)が6位に入っており、特定商品でも人気に火がつくと大きな売上を狙える市場であることが読み取れる。
総括
驚異的な売上を叩き出した2016年の独身の日だが、日本企業の健闘が非常に目立ったデータとなっている。昨年と比べて3.3倍以上の売上を記録しており、天猫(Tmall)全体でもユニクロが6位にランクインするなどそのプレゼンスは年々高まってきている。天猫国際(Tmall国際)においても諸外国を差し置いて日本商品が人気NO.1となるなど中国において日本商品は相当受け入れられてきている。ただ、一方で美容とベビー関連以外の商品は上位に顔を出してきておらず、今後はそれら以外の商品カテゴリにおけるプレゼンスの高め方などに改善の余地があると感じた。来年の独身の日は一体どの程度の売上を記録するのか。成長を続ける中国EC市場に目が離せない。
この分析に用いたデータについて
この記事は株式会社Nintが提供するECデータ推計サービス 「Nint(ニント)」に基づき作成されています。記事中の数値はすべて「Nint(ニント)」 が独自のビッグデータ技術を用いて算出した推計値となり、紙面の特性上詳細なデータは省略しております。より詳細なデータをご希望の方はこちらからお問い合わせ下さい。なお、上記に展開されているすべての知的財産権等は株式会社Nintが保有しております。またこの記事の執筆にあたり参考とした各サイトのクリエイティブなどは該当する各団体が権利を保有しております。
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