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2023年の母の日市場(花ジャンル)の振り返り!シーズン前の予測の実績を振り返る




前回のブログにて、2023年の母の日市場について、そのトレンドを予測をしたので、今回はその予想が当たったのか、外れたのかを調査致しました。

前回記事の振り返り
・EC市場において、「母の日」需要は存在すると考えられる。
・需要は3月から発生し、4月をピークに5月まで続く。
・市場の動きは、2021年・2022年とほぼ同じ需要数値(季節指数)となっていた。
・今年の直近動向も踏まえ、予想した母の日需要は、以下の通り。
└①メッセージカード付
└②送料無料(もしくは少額負担)
└③鉢植えタイプ
└④花のバリエーションが豊富であること
└⑤バリエーションは自分で選べること
└⑥スイーツやお菓子付のものが増加傾向となる




今回は、2022年3月〜5月と、最新の2023年3月〜5月を比較することで、予想の振り返りと、市場全体がどのように推移したかを振り返ります。



【目次】
1. 「花」市場の結果と分析
2. 母の日需要時期における「花」市場の平均単価
3. 母の日需要時期における「花」ジャンルのメーカー動向
4. 母の日需要時期における注目のショップ
5. 2023年母の日需要時期、ECモールで売れていた商品の特徴
6. まとめと総括




1. 「花」市場の結果と分析

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの3モールにおいて、2023年6月時点のNint推計データより、2023年3月〜5月の「花」ジャンルは前年同時期比102.6%で堅調に拡大しました。EC市場における母の日市場に関しては、堅調に推移したようです。



しかしながら、3月、4月、5月と各月で確認すると非常に面白い結果となっております。3月は、市場全体として87.1%で推移と非常に苦戦をしております。これは、主力のサブジャンル、「鉢花」と「花束・切花」の売上が苦戦したことが要因となっております。4月も同様に90.7%と前年を下回り、要因は「花束・切花」ジャンルの苦戦が全体に影響しております。しかしながら5月に関しては、前年比131.9%と大きく伸長しております。要因として、楽天市場での売上拡大(全てのサブジャンルで2桁成長)が大きく寄与致しました。このことから以下の事が推察されます。

①3月の苦戦要因について

2023年と2022年の大きな違いを考えると、「コロナ」による行動制限の違いが挙げられます。今回、苦戦したジャンルを見ると、鉢花以外に「花束・切花」が挙げられます。これは「実店舗での購入の増加」が起きた可能性が考えられます。今までは、コロナ禍の影響で中々当人に会うことも出来ないため、ECを使っての配送などで送っていた祝いの花(主に卒業式)や、退職などの際の花束の需要が、2023年は「オフライン市場へ」動いた可能性があります。実際に大手アパレルメーカーの直営店舗の一部で、店頭に花束が販売されており、多くの人が足を止めて、購入しているのを見かけました。

②4月の苦戦要因について

4月の要因は3月とは異なると考えております。4月が前年より苦戦した一番の理由は、「需要時期のズレ」ではないかと思われます。これは次に記載する「5月の好調要因について」で詳細に書きますが、この需要時期のズレが毎年4月に需要のピークを迎える花ジャンルの影響ではないかと推察いたします。

③5月の好調要因について

5月の好調要因は、ズバリ「母の日」が今年は昨年に比べ「遅かった点」と、その結果ゴールデンウィーク明けから充分に時期が空いた点ではないでしょうか。母の日は、5月の「第2日曜日」となっており、2022年では5月8日であったのに対し、2023年は5月14日と「6日間」の差があります。また、昨年度はゴールデンウィーク後の日曜日となるため、その需要は4月に集中する傾向があったと考えられます。このことが本年4月の需要時期をズラし、5月にも4月並みの売上需要を生んだと考えられます。(市場規模として最大は本年も昨年も4月です)

まとめ

・3月の需要は卒業式などの需要が考えられるが、ポストコロナ時代到来でその需要に陰りが見られる。
 ・本年母の日市場は伸びたが、昨年度とは異なり5月の需要が高かった。
 ・5月需要が高まった要因として、カレンダー廻りの影響とゴールデンウィーク明けから期間が空いたことが考えられる。

2. 母の日需要時期における「花」市場の平均単価 

平均単価は3,887円と前年同時期比で108%、一方で販売数量は94.9%で推移しております。
単価上昇の要因は、
①低単価商品の販売数量の減少、
②平均単価の高いジャンルの販売数が大きく減少しなかった 
③売上構成比で主軸となっている楽天の「鉢花」ジャンルが平均単価を251円上昇させた事でジャンル全体の単価が上昇した
の3つが挙げられます。

3. 母の日需要時期における「花」ジャンルのメーカー動向

各メーカーの動向を見ると、前年同時期に1位のメーカーA社が売上を前年同時期比130.0%となり、本年も1位をキープしております。一方で、前年比で一番高い成長をした、B社は昨年度4位から本年2位となり、売上シェアも8.9%上昇させました。
B社は楽天市場を中心に展開している直営ショップで売上を大きく拡大しており、特に「鉢花」ジャンルにて市場の成長と比較しても+ 248.2%の成長をしております。市場のシェア率では頭一つ分前に出て成長しているA社ですが、今後はB社の猛追に対してどのように対応していくのか、その動向に注目です。

4. 母の日需要時期における注目のショップ

注目すべきショップは、上述の通り、成長率が著しいB社直営店です。鉢花を中心に販売を行い、実績を上げております。販促としては、2月中旬から早割りとして一部製品の訴求を始めており、5月12日(母の日の2日前)まで早割りを多く入れておりました。また、5月16日(母の日の2日後)まで販促は減るものの、当日以降の数日間に存在する需要に対してもしっかりと対応しているのも特徴的でした。結果として母の日当日、前日にも4月中旬と同程度の売上を作っております。
※実際の数字や推移についてはNint ECommerceでご確認いただけます。

5. 2023年母の日需要時期、ECモールで売れていた商品の特徴について

2023年の母の日を商品単位で振り返ります。今年の当該期間における売上TOP50の商品から、今年の母の日のトレンドが冒頭に記載した前回の考察通りだったのか、それとも新たなトレンドがあったのかを改めて確認致します。

<前回の考察に対する結果>
  • メッセージカード付 50商品中8品
└需要はあるものの、約1/5の商品に使用されていた状況でした。
  • 送料無料(もしくは少額負担)50品中27商品
└半数以上の商品で送料無料を謳っており、需要のある商品は送料無料の傾向が高いことが改めて確認出来ました。
  • 鉢植えタイプ 50品中31商品
└半数以上の商品が「鉢植え」「花鉢」「鉢花」といったワードを使用しております。本年は鉢花が好調であったことからも、やはりトレンドであったと判断出来ます。
  • 花のバリエーションが豊富であること 50品中8品
└種類を謳った商品は全体の約1/5となり、メッセージカードと同様の傾向でした。
  • バリエーションは自分で選べること 50品中19品
└「選べる」を謳った商品は全体の約2/5でした。このことから、選択できる。という点は消費者にとってニーズがあることが伺えます。
  • スイーツやお菓子付のものが増加傾向となる 50品中25品
└「スイーツ」謳った商品は全体の半数にもなりました。このことは、花単体ではな    く、他にも喜ばれるようなスイーツをセットにすることで、付加価値を挙げていると   考えられます。また、このことは、花ジャンルの単価上昇にもつながっている可能性   があります。
<今回見られたその他の特徴>
  • 遅れて需要もある 50品中7品
└「遅れてごめんね」を謳う商品が、7品に使われております。母の日は、5月の第2日曜日と固定の日ではない為、忘れてしまう事が考えられます。実はこうした「遅れて」を謳った商品も上位に入っていることが判明しました。
  • カーネーションのワード   50品中27品
└「カーネーション = 母の日」 の定着が見て取れます。「母の日」のワードと共に、よく使われていることが再確認できました。


6. まとめと総括

2023年の母の日は以下のようなことが言えそうです。

①例年とは違う動きをした。(本来5月に入るとグっと下がる需要が維持)
②トレンドは予想したものと比較的近い傾向を示した。
③新たな需要として「遅れてごめんね」需要は存在する可能性。
④売れ筋ショップは母の日「前々日」(配送が間に合うタイミング)まで商品を展開。その後も、【遅れて】需要を逃さない対応をしている。



母の日を終え、2023年の最新結果をまとめましたが、いかがだったでしょうか? 前回出していた予想通り、概ね今年のトレンドは4月時点とは変わっていないようでした。 しかしながら、今年の母の日は日付として「最も来るのが遅い年」であったため、来年以降どのような動向になるのか、今からその動向が気になります。





作成者
山本 真大(Yamamoto Masahiro, Marketing Div.マーケティングUnit)
編集者
Nint Blog 編集長 加藤 洋平(Kato Yohei, ERP Div.カスタマーサクセスUnit)


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