EC担当者必見!楽天市場の今後の売上の鍵を握る3つの取り組みとは
㈱Nintのカスタマーサクセスの加藤です。
私は毎月約20社のお客様と商談させていただいておりますが、商談のアイスブレイクとしてEC関連のニュースを紹介させていただき、お客様と情報交換させていただいております。そこで今回は楽天市場に関するニュースを振り返り解説させていただき、個人的に考える楽天市場の今後の展望なども記載させていただきます。
目次
楽天市場の2024年の売上動向を振り返る
(画像:楽天グループ株式会社2024年度第3四半期資料より)
楽天グループ株式会社(以下、楽天)の決算情報によると2024年の国内EC流通総額は、第1四半期95.3%、第2四半期95.2%、第3四半期93.1%となっております。同社の見解としては、2023年12月に実施されたスーパーポイントアッププログラム(以下、SPU)の変更と、2023年7月まで実施されていた楽天トラベルにおける全国旅行支援キャンペーンの影響、2023年9月にふるさと納税のルール変更に伴う駆け込み需要があったことによる影響とのことです。
また、Nintのデータによれば、楽天市場(楽天トラベル、ふるさと納税除く)の推計売上は前年比で1月~6月までは苦戦していましたが、7月~9月は前年並みに回復してきており、2024年前半の不振からは脱却したように見えます。この要因としては、楽天モバイルの800万回線突破(2024年10月)によりSPUの恩恵を受ける対象者が徐々に増加してきたことによるものと考えられます。
今後の楽天市場の売上の鍵を握る3つの取り組み
上述の通り2024年は売上が苦戦しており、さらに楽天市場に出店しているショップにとってはRPP広告の入札上限の変更(2023年11月15日)、ラ・クーポンの有料化(2024年4月1日)、出店料の値上げ(2024年6月1日)とコストも増えるかなり苦しい状況でした。その中でも特に注目すべき3つの施策が、今後の楽天市場での売上拡大において大きな鍵を握ると考えられます。それぞれの取り組みを詳しく見ていきましょう。
最強配送ラベル
楽天市場は2024年7月に「最強配送ラベル」という新たな施策を導入しました。このラベルは、配送品質を向上させ、消費者に迅速で確実な配送を保証する目印で、消費者が信頼して商品を選べる仕組みを提供することを目的としています。ラベル付き商品は検索結果で優遇される傾向があるため、出店ショップにとっても売上向上が期待される施策です。
しかし、一部のショップでは「迅速かつ確実な配送が難しい」や「検索結果での優遇効果が実感できない」という意見が聞かれました。楽天市場は対策として自社物流網「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」の強化を進めていますが、より迅速な対応が求められる状況になっております。
物流業界では今年「物流の2024年問題」が大きな課題となっています。トラック運転手の労働時間制限が厳格化されることで、物流キャパシティの不足や配送コストの上昇が懸念されており、この課題は来年以降も続くと思われます。一方で消費者はECでお買い物をする時の基準として配送の利便性を重要視するという傾向がありますので、この課題を解決することが楽天市場の今後の売上の鍵を握ると考えられます。
定期購入サービス
2025年3月頃にリニューアルが予定されている楽天市場の定期購入サービスは楽天市場および出店しているショップにもメリットがあり、消費者の買い忘れ防止とショップのLTV(顧客生涯価値)向上に貢献する施策です。このサービスを利用することで、消費者は通常価格よりもお得に商品を購入でき、ショップ側は離脱を防ぐことが可能です。
ECでは、オフラインでの買い物に比べ、どのショップで購入したかが消費者にとって重要視されにくく、消費者の意思に関わらずLTVが低くなる傾向があるため、リピート購入の仕組みを構築することが必要です。今回のリニューアルで、定期購入サービスがどこまで定着するかが注目されます。
外部向け広告
楽天市場は、GoogleやMetaとの連携を通じて外部広告展開を強化しています。例えば、以下の2つの広告施策が注目されています:
- TDA-Expansion(ターゲティングディスプレイ広告):Meta(Facebook、Instagram)でユーザー個別の行動データに基づき、店舗の商品を自動的に組み合わせて配信するターゲティング広告。
- RPP-Expansion(検索連動型広告):Google検索画面のショッピング広告部分に、ショップが楽天市場のシステムを介して出稿できる商品画像付き広告。
これらの施策は、楽天市場外の消費者にもリーチできるため、売上拡大が期待されています。開始当初はROAS(広告費用対効果)が悪いとの声もありましたが、今後の動向に注目です。
楽天市場の今後に必要な施策と対策
楽天市場の売上向上には、これらの新施策の成功が不可欠です。特に「最強配送ラベル」の浸透と物流体制の強化、「定期購入サービス」の定着、「外部広告」の費用対効果の改善は、楽天市場が今後もEC業界をリードするための重要な課題と言えます。
まとめ:楽天市場の今後を見据えた戦略を
楽天市場は、2024年の売上回復の兆しを見せつつも、新たな課題に直面しています。本記事で紹介した3つの取り組みを通じて、売上拡大に向けた新たな可能性が広がっています。
EC担当者としては、これらの施策を注視し、自社の戦略にどのように活用できるかを考えることが重要です。最新情報を取り入れながら、最適なアプローチを模索していきましょう。
以上が2024年の楽天市場と私が考えるこれからの展望についてです。
お忙しい中、最後までお読みいただきありがとうございます。皆様の日々の業務の中での成功体験やお悩みがございましたら、ぜひお聞かせいただける機会があれば嬉しいです。私たちは、皆さまの挑戦を全力で応援しております。
この記事を書いた人
加藤 洋平(かとう ようへい)
株式会社Nint カスタマーサクセスDiv フード&ファッション・コスメユニット データアナリスト
2010年よりグリーンスタンプ株式会社にてコンサルティング営業としてキャリアをスタート。 2017年よりバリューコマース株式会社にてデータアナリストとしてコンサルティング業務に従事。その後、株式会社フィードフォース社を経て、2022年よりNintにて営業もできるデータアナリストとして鋭意活動中。
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