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ECモールのドローン市場規模は、1.26倍で急成長!2024年6~8月の楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングの市場を分析

本記事のポイント

  • ドローン市場:売上は前年同期比で1.26倍で急成長
  • 楽天市場:上位メーカーは安定も、3位以下で大きな順位変動。新規参入が目立ち、平均単価は上昇。
  • Amazon: 売上・数量は増加。新規メーカー・ショップが上位にランクインし、変動が激しい。
  • Yahoo!ショッピング:低単価商品のシェア拡大で売上維持。新規参入が多く、平均単価は低下。

手軽に空撮写真を撮ることができるドローンは、趣味としても注目されています。人が入りにくい場所や、普段では見ることのできない高さからの撮影が魅力です。近年小型化・軽量化も進み、価格も以前に比べると手が出しやすい価格となっていることから、初めて挑戦してみる方も多いのではないでしょうか。
今回は2024年6月~8月のEC市場におけるドローン市場の動向を、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングの3大ECモールから分析しました。

3大ECモールのドローン市場動向

2024年6~8月のドローン市場全体の売上は、前年同期比で1.26倍、販売数量は1.06倍増加しました。平均単価は前年の16,320円から19,310円と上昇しました。そして、モール別に確認すると、モール間で平均単価差は10,000円近くになります。今回の平均単価の上昇要因は、市場平均単価が最も低かったモールが平均単価を上昇させ、市場での売上シェアを伸ばしたことが、市場平均単価よりも高いモールの売上構成比を上回ることで、結果として平均単価の上昇につながったと考えられます。

次に3モールそれぞれのドローン市場の動向について確認します。

楽天市場

楽天市場では市場全体が微減しましたが、上位メーカーの中で1位と2位のメーカーは昨年同様、順位に変動はありませんでした。一方で、昨年49位だった高単価商品を扱うメーカーが3位に浮上し、昨年4位のメーカーが8位に下降するなど、2位以下のメーカー間で激しい順位変動が見られました。

ショップ別では、1位のショップは昨年同様トップを維持しましたが、売上は苦戦しています。その一方で、2位と4位には昨年展開していなかった新規ショップがランクインするなど、新規参入が目立ちました。全体として、売上と販売数は微減したものの、高単価商品の構成比が上昇したことにより、平均単価は上昇しました。

Amazon

Amazonでは、売上、数量、平均単価のすべてが前年を上回る好調な結果となりました。1位のメーカーは順位変動がなく安定して1位を維持しましたが、昨年は存在しなかった新規メーカーが2位にランクインするなど、大きな変動がありました。この2位のメーカーは、平均単価の高い商品を多く取り扱い、シェア率は昨年のトップ2メーカーに匹敵するほどの勢いです。

ショップ別でも同様の傾向が見られ、昨年未出店だったショップが2位に躍り出るなど、新規参入のショップがTOP20内に3店もランクインしました。Amazonでも、新規ショップの台頭が非常に目立っています。

Yahoo!ショッピング

Yahoo!ショッピングでは、平均単価が低下したものの、販売数量の増加により売上を維持しました。これは、平均単価が市場の3分の1程度の低単価商品を扱うメーカーが、売上順位を11位から3位に大きく上昇させ、シェア率を1ポイント増加させたためです。また、市場平均より3倍以上高い商品を扱う1位メーカーのシェア率が5ポイント以上低下し、新規メーカーの参入によって全体の平均単価が下がったことも要因です。

ショップ別では、楽天市場やAmazon同様に新規参入が目立っています。1位と2位のショップには変動がないものの、3位と4位には昨年はなかった新規ショップがランクインしており、Yahoo!ショッピングでも新規参入が多く見られます。

3モール共通の動向として、昨年度はなかった新規ショップの台頭、新規メーカーの台頭が非常に目立ちます。一部のショップ・メーカーが独占状態だった市場に多くの参入がみられ、まさにECのドローン市場は盛り上がりを見せています。

ドローン市場競合動向

メーカー動向

3大ECモールにおける上位5メーカーの売上市場シェア率は、昨年度は上位2社で90%以上と2強状態でしたが、本年は上位3社で90%以上と3つ巴の状況へと変化しております。3社の内、2社は平均単価が市場の約2倍と高単価商品のメーカーで、1社は平均単価が市場平均単価の半分のメーカーです。この動きから、メーカーに注目してドローン市場を見ていくと、「高単価」と「低単価」の二極に分かれており、市場平均単価のような中間価格のものはそこまで多くのシェアを占めていないことが分かります。

図1:本年TOP5メーカーの昨年度構成比・本年度構成比推移

ショップ動向

3大ECモールにおける上位5ショップの売上市場シェア率は、昨年・本年と80%以上で推移するも、上位5ショップ同士を比較すると、昨年度売上のないショップがランクインするなど、変化がみられます。
また、本年TOP5ショップの平均単価を確認すると、市場平均単価よりも2倍以上高いショップが5ショップ中4ショップ、市場平均単価のほぼ半分のショップが1ショップでした。メーカー動向同様に、市場平均単価近くでの価格帯のショップではなく、「高単価」「低単価」の2極化したショップが目立つのが特徴です。

図2:本年TOP5ショップの昨年度構成比・本年度構成比推移

ドローン市場商品動向

2023年・2024年TOP50からみるドローン市場動向

該当期間の3大ECモールのドローン市場における、売上TOP50商品の特徴を2023年・2024年・共通特徴としてまとめました。

2023年の特徴

  • プロ向けのハイエンドモデルが多い
  • 4K/60fps動画撮影可能など、高品質な動画撮影が可能なモデルが多い

2024年の特徴

  • AI飛行カメラなど、AI技術を活用したドローンの登場
  • 一人称視点で飛行が楽しめるドローンの登場
  • 本体以外にも、バッテリーや充電ハブ付属など、初心者向けセットの増加

2023年・2024年共通の特徴

  • 法規制対象外となる、100g未満の軽量ドローンがランクイン
  • 特定メーカーのドローンが多く含まれる
  • 初心者・子供向けモデルがどちらにも含まれる
    (より多く含まれるのは2024年)

2024年6月~8月ドローン市場売れ筋TOP3

2024年6月~8月3大ECモールのドローン市場で、売上TOP3商品(2024年9月20日現在)は以下の通りです。(ショップSKU単位)

1位: 100g未満でAI機能搭載の小型ドローン
2位: GPS搭載の100g未満カメラ付きドローン
3位:子供向けの小型カメラ付きミニドローン

ドローン市場のまとめ

ドローン市場は、2024年6月から8月にかけて売上・販売数量ともに前年を上回り、特に高単価商品の需要が増加しました。楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングの3大ECモールでは、新規メーカーや新規ショップの参入が活発で、市場全体が盛り上がりを見せています。また、プロ向けのハイエンドモデルだけでなく、AI技術を活用した新しいドローンや、初心者向けのセット商品の増加により、消費者の選択肢が広がっています。

今後の展望

今後、ドローン市場では以下のような動きが起きると予想されます。

法規制の変化
ドローンに関する法律や規制が見直され、安全性やプライバシー保護のための新たなルールが導入されるかもしれません。

価格帯の多様化
高機能なハイエンドモデルと手頃な価格のエントリーモデルの二極化が進み、より多くのユーザーがドローンを手に取るようになるでしょう。

技術の進歩
AIや自動飛行技術の発展で、初心者でも簡単に操作できるドローンが増え、空撮や映像制作がより手軽になります。

商業利用の拡大
農業、物流、警備など、ドローンの活用分野が広がり、新たなビジネスチャンスが生まれるでしょう。

競争の激化
新規参入企業が増えることで、価格やサービス面での競争が激しくなり、消費者にとっては選択肢が増える一方、メーカー・ショップにおいてはターゲットとする消費者像を想定し、価格設定や戦略を練る必要があります。

これらの動きを受けて、メーカーやショップは市場の変化に対応し、ユーザーの多様なニーズに応える商品やサービスを提供することが重要になります。安全性や使いやすさ、付加価値の高い機能を備えたドローンの開発が求められるでしょう。一方で、付加価値を減らしたシンプルで低価格の商品の開発も市場ニーズから想定されます。市場変化が激しいドローン市場が今後どのように変化していくのか、今後の動向に注目です。

作成者: マーケティングセールスDiv アナリスト 山本 真大(Masahiro Yamamoto)
編集者: マーケティングセールスDiv エディター 村上 咲(Saki Murakami)

Nint ECommerceに関して

日本国内のEC市場の約7割を占める3大ECモール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング)の売上・販売数量をモール別、ジャンル別、ショップ別、商品別に分析できる画期的なツールです。Nint ECommerceを活用いただくことで、以下のイベント対策を効率的にサポートしています。

活用例

商品在庫(SKU単位)の拡充
 競合価格を見ながら自社の販売価格を設定
 競合のポイント倍率を見ながら自社のポイント倍率を設定
 商品名(商品情報)での差別化
 検索露出(RPPなど)の強化

Nint ECommerceを活用することで、ECビジネスチャンス創出に役立ちます。ご興味のある方は、ぜひ下記リンクよりNint ECommerceの詳細をご確認ください。

■調査概要・免責事項
・本調査は、Nint ECommerceを用い、国内の3大ECモールである楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングを対象として調査しました。
今回調査にあたり抽出したジャンルは以下の通りです。
Amazon
家電&カメラ>カメラ>ドローン・マルチコプター以下階層
Rakuten
ホビー>ラジコン・ドローン>ドローン・マルチコプター以下階層
Yahoo!ショッピング
ゲーム、おもちゃ>ラジコン>ドローン、ヘリ、航空機以下階層
※詳細ジャンルに関しては株式会社Nintへお問い合わせください。

・レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません。

■調査期間
2023 年 6 ⽉〜2023 年 8 ⽉
2024 年 6 ⽉〜2024 年 8 ⽉
※本稿における Nint 推計データは 2024 年 9 ⽉時点のものを使⽤

■調査機関(調査主体)
株式会社Nint

■調査対象
Nint推計データ
Nint推計データは、AIやクローリングなどの技術により⽇本国内の3⼤ECモールで販売される商品の売上⾦額・販売数量を⾼精度に推計したデータに、サイト内でのプロモーションデータ等を加えた、EC市場の総合的な分析を可能にするビッグデータです。

■転載・引用について
本レポート・ブログの著作権は株式会社Nintまたは執筆者が所属する企業が所有します。
下記の禁止事項・注意点を確認の上、転載・引用の際は出典を明記してください。
【出典:「ECモールのドローン市場規模は、1.26倍で急成長!2024年6~8月の楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングの市場を分析」(2024年10月21日公開)】
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