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令和の米騒動、EC市場への影響は!?〜ECモールでも品薄続く!最新売上推移からコメ市場動向を推察〜

#食品業界 #ECトレンド #市場規模

こんにちは、Nintデータアナリストの山本です。

最近、「お米がない!」という報道を目にした方もいるのではないでしょうか?
実際に店頭に行ってみると、確かに品薄になっているスーパー・ドラッグストアが散見され、店舗従業員の方のお話では、「以前は潤沢に入荷していたが、最近は途切れがちになっている」とのことでした。日本人の主食の一つでもある、「お米」。今回は2024年7月~8月までの期間に焦点を当て、国内3大ECモール(楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング)を追い、その動向を探っていきます。「やはり」と感じるか、「意外」と思うか、ぜひ本記事をお読みいただき、あわせて国内EC市場調査をできるNint ECommerceの魅力に触れていただければ幸いです。

本記事のポイント

  • EC市場でも品薄の影響が顕著!白米市場の最新動向
  • 白米不足の影響は他の米にも!?代替需要の行方を追う
  • 販売が好調なショップはどこ?好調ショップの特徴を徹底解説

白米市場

それでは早速、最も注目されている白米ジャンルの3大ECモールの動向をチェックしていきます。

図1:3大ECモール 白米ジャンル 市場動向(7月1日~8月31日)

図1を見ると、市場は「日」によりヤマをつくりながらも、微増傾向であることが伺えます。

この推移を見ると、市場は好調に上昇しているように見えますが、Nint ECommerceのショップ分析機能を用いて売上上位のショップ商品を確認してみると、下記のような結果が確認できます。

図2:Nint ECommerce ショップ分析機能による、上位ショップの白米ジャンルの状況

図2から、売上上位のショップでも在庫がなく欠品していることが確認できます。
在庫状況は日々変動しますが、少なくとも、上記図1の売上は欠品がなければさらに高かった可能性が伺えます。(図1の売上推移は「モールで売上が立った商品」です。欠品商品は注文自体ができないため売上に集計されません。)

参照:特定商品の売上ランキング推移(Nint ECommerce 商品分析より参照)※灰色部分が欠品期間

商品が一時的に欠品・品薄になり、売上が出てこないこの傾向は、他の売上上位ショップの商品でも起きていました。これらのことからも、多くのショップで品薄状態が起きているが、売上は上昇傾向で推移している。というのが現在の白米ジャンルの状況のようです。

その他のコメ関連市場

米関連のジャンルとして、白米を加工しパウチにしたごはんパックや、白米に似た外国米、ジャスミン米などがあります。これらの状況はどうなっているのでしょうか?今回は、「ごはんパック」と、あるモールでの「ジャスミン米」の推移を確認していきます。
まずは、3大ECモールの「ごはんパック」ジャンルの推移を見ていきます。

図3:3大ECモール ごはんパックジャンル市場動向

ごはんパックジャンルも白米ジャンル同様、売上上位ショップの状況を見ると、品薄状態が続いております。このジャンルもまた、売上ポテンシャルを残した状態での推移となっています。

ごはんパックジャンルに関しては、7月中旬と8月中旬に特徴的なヤマが確認できます。7月は台風4号や大雨による影響の報道が増え、7月15日には宮城県で震度4の地震が発生するなど、「地震や災害」に関する報道が増えたタイミングです。
8月8日にも九州地方で起きた地震の影響により、気象庁より南海トラフ地震に関して巨大地震に関しての注意喚起が発信されました。8月15日には解除されましたが、継続的に続く地震に災害へ備える「備災意識」が上昇した結果、売上が伸びたと予想されます。
更に今回は、「非常食・備災食」としての需要のほかに、品薄になっている白米の代替商品としての需要も重なっていると考えられます。その結果、白米ジャンル同様に一時的な品薄状態が起きていると思われます。

図4:特定モールにおける ジャスミン米ジャンル 市場動向

次に特定モールにおけるジャスミン米ジャンルの市場動向を確認していきます。
図4から分かる通り、飛び石的に1日程度品薄になることはありますが、ほぼ品薄・欠品の影響を受けずに推移し、8月下旬から急増していることが分かります。これは、長引く白米の品薄に関しての代替需要として一部の消費者が購入している可能性が考えられます。

このように見ると、他の米関連市場においても、白米品薄による影響が起きており、ごはんパックでは白米の代替需要と備災需要が重なり品薄に、ジャスミン米などの白米以外の米に関しては白米の代替需要として需要が高まっていると思われます。

市場動向(白米市場中心)

ECの米市場も、オフライン同様、影響を受けていることが分かりました。次は別の切り口として、7月〜8月の価格変動についてと、この品薄の状況下であっても販売ができているショップの特徴などを見ていきたいと思います。

価格変動に関して

白米の品薄報道により価格が上昇傾向にある。という報道を目にしている方も多いかと思います。3大ECモールにおいて平均単価推移を確認する際、通常は売上と販売数量から平均単価を算出し、その変動を確認しますが、今回は売上上位のショップの販売価格を確認し、その動向をチェックしました。

※該当ショップでは市場同様、品薄や欠品が発生していますが、市場全体の他の日数と比較すると、影響は数日にとどまっております。比較的潤沢に供給している観点から、価格変動における品薄の要素を省き、純粋な価格変更の動向として市場よりも参考になると判断し、使用しました。

結果、調査をした7月1日から8月末までに、販売価格は108%~120%(もしくはそれ以上)で上昇しております。また、9月10日現在、すぐに納品可能な白米に関しては平均して120%程度、価格が上昇していました。昨今の品薄に加え、物流費高騰などの影響もふまえると、この傾向はもう少し続くのではないかと思われます。

販売ショップの特徴

白米の品薄環境下でも販売ができているショップは「ふるさと納税関連ショップ」「地産の直販ショップ」「米卸」などが目立ちます。これには、納品の目処が立ちやすいことが主な理由と考えられます。
新米の季節は9月下旬から11月といわれているため、まもなく新米の季節となりますが、直販ショップ・米卸とその他のショップの違いとして、生産者とどれだけ近いかということがあげられます。
今回の米のように収穫量が左右される商品に関しては、「どれだけ取れるか」「どれだけ供給できるか」を一番把握できるのが生産者であり、その生産者と近い位置にいるショップが供給量を考えながら、納品予定日を提示し、販売することができている。というのが現在のEC市場における、コメ市場の動向のようです。

コメ市場まとめ

現在の米不足の要因は、2023年の猛暑や大雨の影響により、米どころの収穫量が減少したことに起因しています。また、外的要因としては生産調整やインバウンド需要の増加なども要因の一つと考えられます。加えて、近年多発する地震や災害時に備える備災需要がさらに不足に拍車をかけています。

令和の米騒動としてメディアでも多く取り上げられる白米の品薄ですが、EC市場でも品薄が起きていることが確認できました。しかし、現在でも納品を行っているショップや、納品予定を立て、供給に向けて動いているショップも多く見られました。今後秋の新米の季節を迎え新米の収穫が増えることで、この問題は解消されていくと考えます。解消までには数週間~数か月かかる可能性がありますが、先納品であっても注文対応が行われていることなどからも、深刻な不足状況ではないことが分かります。大切なのは、焦らず計画的に購買を進めることだと考えます。

まもなく新米の季節。これらの問題が解消し、おいしいごはんを食べられる日も近いはず!

今回、好調ショップの商品動向や、価格動向の調査に大活躍した、3大ECモールの推計売上データを確認することができるNint ECommerceにご興味を持った方はぜひお問い合わせもお待ちしております。

Nint ECommerceに関して

日本国内のEC市場の約7割を占める3大ECモール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング)の売上・販売数量をモール別、ジャンル別、ショップ別、商品別に分析できる画期的なツールです。Nint ECommerceを活用いただくことで、以下のイベント対策を効率的にサポートしています。

活用例

商品在庫(SKU単位)の拡充
 競合価格を見ながら自社の販売価格を設定
 競合のポイント倍率を見ながら自社のポイント倍率を設定
 商品名(商品情報)での差別化
 検索露出(RPPなど)の強化

Nint ECommerceを活用することで、ECビジネスチャンス創出に役立ちます。ご興味のある方は、ぜひ下記リンクよりNint ECommerceの詳細をご確認ください。

■調査概要・免責事項
・本調査は、Nint ECommerceを用い、国内の3大ECモールである楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングを対象として調査しました。
今回調査にあたり抽出したジャンルは以下の通りです。
・Amazon
食品・飲料・お酒>米・雑穀以下ジャンル
・楽天市場
食品>米・雑穀>以下ジャンル
・Yahoo!ショッピング
食品>米、雑穀、粉類 以下ジャンル
※詳細ジャンルに関しては株式会社Nintへお問い合わせください。

・レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません。

■調査期間
2020 年 1 ⽉〜2024 年 8 ⽉
※本稿における Nint 推計データは 2024 年 8 ⽉時点のものを使⽤

■調査機関(調査主体)
株式会社Nint

■調査対象
Nint推計データ
Nint推計データは、AIやクローリングなどの技術により⽇本国内の3⼤ECモールで販売される商品の売上⾦額・販売数量を⾼精度に推計したデータに、サイト内でのプロモーションデータ等を加えた、EC市場の総合的な分析を可能にするビッグデータです。

■転載・引用について
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【出典:「令和の米騒動、EC市場への影響は!?〜ECモールでも品薄続く!最新売上推移からコメ市場動向を推察〜」(2024年9月13日公開)】
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